■エドモン・ロスタン/『シラノ・ド・ベルジュラック』 |
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2008-11-30 Sun 10:24
『カラマーゾフの兄弟』が爆発的なヒットとなった光文社古典新訳文庫。
このシリーズの新刊として,このたびロスタンの『シラノ・ド・ベルジュラック』が発売された。 ![]() 今回,新訳を手がけておられるのはフランス演劇研究の大御所・渡辺守章氏。我が家の本棚を眺めてみると,ラシーヌやジュネなど,渡辺氏が訳された本をいくつも発見することができる。 わが国における『シラノ』といえば,これまでは辰野隆・鈴木信太郎訳の岩波文庫版が広く読まれてきた。こちらはこちらで,実に味わい深くていい。ゆとり世代の子らなら数秒で逃げ出してしまうのではないかと思うほどたくさんの漢字が使われている上に,「お約束して下さいましよ」だの「何故でございますの?」だのといったゆかしき言葉遣いに溢れた訳は,日本語の豊かさを存分に楽しませてくれるものだ。 しかし,こうした昔からの定番に加えて,新たなる訳が登場するというのは,これまた大いに歓迎すべきことである。昔ながらの訳に親しんでいる者はそれとの比較を楽しめるし,読みやすい言葉になることで,若い読者や新しい読者をも引き込みやすくなるからだ。 今回,渡辺氏の新訳により,新たなる命を吹き込まれたシラノ。今回の文庫の訳者あとがきでも触れられているが,今から7年前の2001年,渡辺氏の訳・演出により,演劇集団「円」の『シラノ・ド・ベルジュラック』が上演された(於:世田谷パブリックシアター,主演:橋爪功)。僕はこのときの舞台を鑑賞しているのだけれど,シンプルな舞台装置に加え,橋爪のシラノはつけ鼻なしで登場。人間味あふれるシラノをストレートに演じており,こちらも素直に楽しむことができる舞台であった。当初は,辰野・鈴木訳を用い,「上演台本渡辺」という道を検討していたそうだが,やはりそれでは無理が生じてしまう。そこで,「学恩に報いるためにも,自分の訳文を作ろう」と決心されたそうだ。今回,光文社の古典新訳文庫シリーズの一冊として,『シラノ』が仲間に加わったのも,7年前のこの舞台があったからこそ。これがなければ,渡辺氏も,あえて新訳に挑もうとは思わなかったであろう,という。きっかけとなった舞台を鑑賞し,そして今,新訳も楽しむことができるなんて,自分は幸せ者であります。 そうそう,今から20年近く前,ドパルデューが主演した映画版『シラノ・ド・ベルジュラック』。僕はこの映画をこよなく,こよなく愛している。これまでの人生において,数多くの映画を観てきた。好きな映画はいろいろあるけれども,その中でもこの映画は,間違いなくトップ争いに絡んでくる作品である。しかし,これほど愛してやまない作品でありながらも,残念なことに,わが国ではこれがDVD化されていないのだ。ああ,なんてこと! セルビデオを持っているとはいえ,やはりビデオでは劣化は避けられない。DVDとして発売されることを切に希望する。 |
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