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あわあわと過ぎ行く日々のあれこれを,気の向くままに書き留めていきます

■中川右介/『松田聖子と中森明菜』

1980年代の少なくとも前半において,日本人が最も多く「聴いた声」と「認識した日本語」は,ときの総理大臣の声でもなければ,人気作家のベストセラー小説でもなく,二人の歌だった。その歌を忘れてはならない。――【はじめに・5頁】

80年代前半,聖子嬢の曲と共に人生の最も多感な一時期を過ごした者として,やはりこういう本は買わずにいられないのよねん…。熱烈なファンの方々にとっては,「何をいまさら…」的な情報ばかりかも知れないけれど,僕程度のファンにとっては,ところどころ「へー,そうだったのか!」と感心するような記述もあったりして,それなりに読み応えのある本だったりする。当時の歌番組『ザ・ベストテン』の順位変遷なども詳しく記されており,資料として手元に置いておくのもいいかも知れない。

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当初は,この本に触発され,自分なりの「聖子論」,とりわけゲイ的な視点から見た「松田聖子論」みたいなものをこちらのブログにまとめてみようかとも思っていた。しかし,準備と称して昔の映像をYouTubeで鑑賞し始めたら,もうやめられない止まらない。あっという間に2時間,3時間とサーフィンしてしまうではないか。なんだかそれだけでもう胸がいっぱいになってしまい,書くべき言葉をすっかり見失ってしまった。ここはひとつ,仕切りなおしといこう。いつかまとまった時間が出来たときにでも,改めてゆっくりと書いてみることにする。

ところで,この本では,前日談として70年代の歌謡界の様子が記され,その後,聖子がデビューする1980年から,彼女が結婚し明菜がレコード大賞を受賞する1985年までの5年間が扱われている(後日談として1989年まで)。
僅か5年間,しかし,この5年間のなんと濃密であったことか!
 
本書は,タイトルだけを見れば,聖子と明菜を同列に並べ,等しい分量を割いてそれぞれを論じているかのように見えるものの,実際に読んでみると,聖子の比重の方が高くなっている印象を受ける。それ故,明菜ファンの方は,やや物足りなさを感じてしまうかも知れない。これは,聖子の活躍の軌跡を追う上で,作詞家・松本隆が彼女に提供した詞の内容や,クリエイターとしての戦略に関する記述にかなりのページが割かれていることによる。80年代の聖子を聖子たらしめた最大の人物が松本隆であるという事実は,衆目の一致するところであろう。本書では,そこからさらに,作曲家,編曲家,バックの演奏者に至るまで,ありとあらゆる才能が一つに結集して「松田聖子」というシステムが形成されていく様を,一つの「革命」としてとらえている。

松田聖子という稀有なシンガーを媒介にして,日本音楽界の最先端にして頂点にある才能が,大衆と結びつこうとしていた。
 前衛と大衆が結びついたとき,革命は起きる。(224)


なるほど,革命ねえ。そんな革命のプロセスをオンタイムで体験できたということは,大変喜ばしいことである。
しかし,そうした革命の日々を今なお鮮明に記憶している者であるが故に,聖子に対しては,「あの日々をもう一度!」と願わずにはいられないのよねん。ここ数年,セルフプロデュースと称して,聖子自身が作詞や作曲をした楽曲が続いているけれど,80年代の神がかったシステム――革命的パワーを持った楽曲の数々――と比べてしまうと,やはりその完成度には不満が残ってしまう。
松本氏ともう一度組んでくれとは言わないけれど,彼女には今一度,さまざまな才能が結集する磁場となって欲しいのだ。我こそは!という意気込みに燃えた若いアーティストたちと組み,思い切って彼らに身を預け,徹底的に料理されてみて欲しい。
やがて訪れるデビュー30周年(!)には,かつてのファンだけでなく,彼女の全盛期を知らない若い世代をも興奮させるようなどデカい花火を打ち上げて欲しいものである。

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♪YouTUBEのおすすめ動画
■チェリーブラッサム……デビューから4曲目。レコードよりも,こちらの方が声に明るさと伸びやかさがあって断然いい。まさに会心の歌唱。伝説の聖子ちゃんカットにも涙。

■ガラスの林檎……名曲。松本さんの詞の中で特に好きな曲のひとつ。

■SWEET MEMORIES……聖子の名曲の中からどうしても,どうしても,どうしても1曲だけ選べと言われたら,これを……選ぶかなあ。

■JUST FOR TONIGHT……海外ではこんなカンジ。ゲイ的にはこういう路線,たまりません。

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