jardin secret★

あわあわと過ぎ行く日々のあれこれを,気の向くままに書き留めていきます

◎SONY WALKMAN――17 till I die

近日発売予定というiPodの新製品も気になるけれど,その前にどうしても買っておきたい品があった。
ソニーのウォークマンS70*Fシリーズである。
あの板ガムくらいの小ぶりなサイズ,そして,ちょい近未来的でスタイリッシュなデザインに心惹かれていたのだけれど,既にiPodを手放せなくなっていた自分にとって,わざわざウォークマンにまで手を伸ばすだけの理由がなかったのよねん。

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しかし,先ごろ,メーカーのモデルチェンジにより,密かに目をかけていたこのシリーズの生産が終了してしまったらしい。てことは,そう遠くない将来,このデザインが手に入らなくなってしまうということか。あれま,そうと聞いたら,俄然欲しくなってしまうじゃないの。
iPodを使いながらも,ソニー製品に惹かれていたのにはもう一つ理由がある。それは,パソコンを介さずにCDプレーヤーなどから直接曲を取り込める「ダイレクトエンコーディング」という機能がついていること。これがあると,コピーガードCDであっても,通常のCDプレーヤーからダイレクトに携帯プレーヤーへと取り込めるため,これまで家の中で聴くしかなかった曲を手軽に外でも楽しむことが出来るのだ。

家電ショップを何軒か覗いてみたところ,生産終了商品ということもあってか,あちこちの店で値引きして販売している。それほど高い値段でもないし,買って後悔するだけの理由も見当たらないし,ここは勢いにまかせて買っちゃおうっと♪ 
「なにも今さら生産終了モデルを買ったりせず,どうせなら最新モデルを買えばいいのに」という声もあろう。でも,自分くらいの年齢になると,敢えて「最新」という名の大波をやり過ごし,静けさと落ち着きを取り戻した遠浅の海でチャプチャプ遊んでいるくらいの方が楽でいいのよねん。最新の携帯音楽プレーヤーには,動画再生機能が当たり前のようについていたりする。しかし,とりあえず今現在の自分には不必要な機能だし,それよりも自分が本当に気に入ったデザインのものを持ち歩きたい。

かくして,iPodとSONYのWユーザーとなったワタクシJean。
早速,コピーガードがかかっていたためにiPodで利用できなかったCDをウォークマンへと取り込んでいく。
個人的に一番嬉しかったのは,映画『僕の恋,彼の秘密(17歳的天空)』のサントラを取り込めたこと。残念ながらこのサントラCD,日本国内版は制作されなかったようで,僕が持っているのは海外からの輸入版。悔しいことに,これがコピーガード仕様だったのだ。この映画をご覧になった方ならご存知のように,オープニングとラストに流れる電影主題曲『我想你的快楽是因為我』,これがなんともサワヤカで軽やかでキャッチーで,一度聴いたら忘れられない,ハッピーでゴキゲンな(←死語?)ナンバーなのである。嗚呼,この曲を携帯音楽プレーヤーに入れて持ち歩きたいっ。いつでも,どこでも,好きなときにこの曲を聴きたいっ。キラキラ眩しい陽光降り注ぐ歩道橋の上で――緑の街路樹が立ち並ぶ真夏の大通りで――そして勿論,好きな男の傍らで――。日常のありとあらゆる「キラキラ」な場面において,この曲を聴くことが出来たら,どんなに楽しいだろう。例の「ウォウウォウウォウ〜♪」のフレーズを一緒に口ずさみながら,天高く駆け上るような高揚感に包まれたい。そう,映画の中の主人公である17歳のティエンと同じように……。

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……ったく,いい歳こいたオッサンが,今さら17歳がどーのとほざいてんじゃねーよっ!という尤もすぎるご批判はサラリと受け流すとして。

思えば,自分が初めて「ウォークマン」を手にしたのは,ちょうどティエンと同じ17歳の時であった。正真正銘の「ウォークマン」,そう,携帯式のカセットプレーヤーだ。この頃にはモデルチェンジが進み,かなりサイズも小さなものになり,値段も手ごろなものになっていたと思う。自分でお小遣いを貯めて買ったのだったかな。いや,確か,両親が誕生日に買ってくれたんだったっけ。

聴き慣れていた好きな曲をウォークマンにセットして屋外へと持ち出し,光と風の中で初めてそれを聴いた時,誇張ではなく,世界がいつもとは違って見えた。音楽の持つ力(のようなもの)を身を以って実感した瞬間である。ヘッドフォン(既に耳の穴の中に入れるタイプのものであった)を通じ,いまここで,自分ひとりだけのために曲が演奏され,自分ひとりだけがそれを享受しているという事実は,あたかも目の前に広がる世界が自分ひとりのためだけに存在しているかのような,あるいは,自分という存在が世界そのものと一体化してしまったかのような,不思議な感覚を少年にもたらしたものだ。

あの日からかれこれ20年。
口惜しいことに,年齢の上ではすっかりオッサンの域にまで達し,17歳の日々はどんどん遠ざかっていくばかりである。
今,17歳の頃には想像もつかなかったほどまでに進化した「ウォークマン」を手に,大好きな『17歳的天空』主題曲をエンドレスで聴きながら,はずむような足取りで街を歩く自分がいる。さすがに携帯音楽プレーヤーにはすっかり慣れっことなっているし,年月を経ることによりそれなりの理性を身に着けてきた筈であるから,かつてのように「目の前の世界が自分一人のためだけに…」云々と果てしなく肥大化した自己意識に陶酔するようなことはもうないけれど,とりあえずあの頃のような感性の若さだけはいつまでも保ち続けていきたいものである。
そう,気持ちの上では,死ぬまで17歳。「18 till I die」という歌があるくらいだもの,それより1つ若く,「17 till I die」と申告してみたところで,特に人様から非難されることもない筈だ。自分で思っている分には自由だもんね。

何はともあれ,無理せず,豊かに年齢を重ねていきたいものである。ウォークマンを無造作にポケットに突っ込み,軽いフットワークで歩いていこう,これからも。

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